探偵や興信所の浮気調査はプライバシーの侵害になるのか?

探偵や興信所に浮気調査を依頼する、または自分自身で証拠を集めをするにしても、

「尾行とか無断撮影とかは違法なんじゃないの?」、「探偵に依頼して本当に大丈夫なの?」、「逆に相手から訴えられるんじゃないの?」、「裁判になった場合は不利にならないの?」など、このようなことに疑問や不安を感じる方はいるかと思います。

自分はパートナーに裏切られている(その可能性がある)被害者側の人間なのに、逆に訴えられたり罪に問われるようなことがあれば目も当てられませんよね。

このページでは探偵に依頼する場合や、自分で行う浮気調査でプライバシーの侵害になるのかや、名誉棄損・侮辱罪・人権侵害・個人情報保護法違反などに関しても解説したいと思います。

そもそもプライバシーの侵害は犯罪ではない

そもそもプライバシーの侵害というのは、

「本人の私生活上で」、「自分以外の他人には知られていない事実で」「公開されたくないことを同意なしに公開すること」という状況によって成立します。

そしてそれは民法709条に規定されている、「不法行為」として扱われます。

故意又は過失によって、他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

勘違いしている方もいると思うので補足しておくと、刑法にプライバシー権の侵害自体を処罰する法律は存在しません。

つまりプライバシー権の侵害は犯罪ではないので、警察に逮捕され罪に問われたり、身柄を拘束されるようなことはありません。

たとえ訴えられたとしてもあくまでも民事での争いになり、訴訟によって金銭・損害賠償請求が行われます。

正当な理由がある夫婦間の浮気調査はプライバシー権よりも優遇される

私たち人間1人1人には、プライバシー権が存在するのは確かな事実です。

なので正当な理由がない限りは、他人から勝手に写真を撮影されたり、外出先での監視や足どりを尾行されるというのは、プライバシーの侵害に当たる可能性はあります。

しかしその逆もしかりで、正当な理由がある場合はプライバシーの侵害も許されるということです。

そして晴れて結婚し夫婦になった2人には、配偶者以外の人間と恋愛や性交渉を行ってはいけない「貞操義務」が存在し、その義務に違反することを「不貞行為」と言います。

この不貞行為は、民法770条で離婚原因になるとまで示されています。

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一、配偶者に不貞な行為があったとき。

二、配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三、配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四、配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五、その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2、裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

そして浮気調査を行うケースというのは、夫(妻)の一方がパートナーの浮気を疑っている、または確信している状態にあります。

浮気調査は離婚原因となり得る不貞行為を、パートナーが行っていないかどうか突き止めるための行為なので、婚姻関係を継続させるために必要な調査ということです。

つまり夫婦間における浮気調査は、明らかな犯罪行為によるものを除外して、多くの場合でプライバシー権よりも優先され、全く何の問題もありません。

プロの探偵による調査は法律で認められている!

浮気調査にあたって探偵や興信所ができる具体的な調査行動は、「聞き込み」、「尾行」、「張り込み」です。

そしてこれらの調査行動が健全に行われている限り、法律によって全ての調査が合法と認められています。

この法律というのが、平成18年6月に施行された「探偵業の業務の適正化に関する法律(探偵業法)」というものです。

第二条

この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。

2、この法律において「探偵業」とは、探偵業務を行う営業をいう。ただし、専ら、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道(不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせることをいい、これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。以下同じ。)を業として行う個人を含む。)の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるものを除く。

3、この法律において「探偵業者」とは、第四条第一項の規定による届出をして探偵業を営む者をいう。

この探偵業法を簡単に説明すると、正規に届け出を出しているプロが依頼されて浮気調査をする場合、その調査行為はプライバシーや人権の侵害には当たらないということ。

つまり公に認められているということです。

さらに下でも解説しますが、名誉毀損罪、侮辱罪、個人情報保護法違反、肖像権の侵害など、それが正しく行われている限りは全てにおいて当てはまりません。

もちろんこれは正式に届け出を出している業者に限られ、探偵・興信所を営む者は都道府県公安委員会に対して営業の届け出を出し、証明証を交付されないといけません。

逆に言うと届け出を出していないもぐりの業者には、当然ですがこの探偵業法は適用されず営業自体が違法なので、依頼する側としては最初にしっかりと確認しないといけません。

個人で浮気調査をする場合はどうなのか?

正規の探偵社に依頼した場合、その調査がプライバシーの侵害にならないことは上で説明しました。

それでは、まとまったお金がないなど経済的な問題や、依頼するほどには浮気の確信に至っていない場合などで、個人で旦那(妻)の浮気を調べる場合はどうでしょうか?

これも上で説明しましたが、夫婦関係がありその配偶者が不貞行為をしているかどうかを調べる・情報収集するというのは正当な行為なので、ほとんどの場合はプライバシーの侵害にはなりません。

ただし自分の判断で行う調査の過程で、本人に自覚はなくても違法な行為が含まれているケースが存在するので、その点に関しては注意が必要です。

これに関しては、「~のページ」で詳しく紹介しています。

そして調査を自分自身で行う上で、やりがちな代表的な違法行為としては、

配偶者の携帯・スマホに、「ケルベロス」などのスパイアプリを仕込んで情報収集する「不正指令電磁的記録供用罪」や、LINEやメールなど相手の同意なく不正にアクセスし、情報を取得する「不正アクセス禁止法」などが挙げられるでしょう。

ただしこれらの行為を働いたとしても、警察は基本的に民事不介入ですし、あくまでも家族・夫婦間におけることなので許容範囲と捉えられることが多いです。

そしてよほど悪質で事件性がない限り、実際に刑事責任が生じる可能性はほぼありません。

その他、名誉毀損・侮辱罪・個人情報保護法違反・肖像権の侵害・人権侵害などについて

勘違いしている人が多く、プライバシーの侵害と同列で語られる場合が多い事柄と、浮気調査の現場におけるそれらの具体例を、簡単に解説しておきます。

名誉毀損罪

その人物の社会的評価を著しく低下させる事実を不特定多数の人に公開し、その名誉を傷つけること。

<具体例>

「不倫相手の名前や職業」、「いつどの場所で不貞行為に至った」など、調査によって知り得た事実を、本人に無断でSNSやネット掲示板などで公開する。

侮辱罪

不特定または多数が認識する前で、誹謗中傷などを行いその人物を侮辱すること。

<具体例>

「〇〇と××は不倫関係にある」、「仕事中にホテルへ行った」など、嘘や噂話なども含めて調査で知り得た事実とは関係ない誹謗中傷を、SNSやネット掲示板などに書き込む。

肖像権の侵害

本人の了解なしで撮影した写真や動画を、本人の許可なく公表すること。

<具体例>

「配偶者と浮気相手が腕を組みながらデートしている写真」、「ホテルへ出入りしている動画」などを、自分のブログやSNSにアップロードする。

個人情報保護法違反

5000件以上の特定の個人を認識できる情報を扱う企業が、ずさん・不適切な管理によってその情報が外部へ漏えいしてしまうこと。

<具体例>

そもそも個人情報保護法というのは、5000件以上の顧客データを有している企業・法人に対して、情報を適切に扱い・管理することを目的とした法律です。

つまり第三者にデータが漏れることがないよう、探偵社側が気にすることであり、そもそも個人には関係のない法律です。

人権侵害

人間らしく社会行動をおくることを、「人種」「性別」「思想」「宗教」などの理由によって阻害されること。

<具体例>

部落出身かどうか、家系図の調査、別れさせ工作など、個人が不当な差別を受ける恐れのある調査を行う・依頼することなどが人権侵害にあたる可能性あり。

ただし浮気調査で該当するケースはなく、また正規に探偵業届出証明書を発行され番号が交付されている探偵・興信所は、基本的人権を損なうような調査を引き受けることはありません。

このページのまとめ

最後にこのページの内容を簡単にまとめていきます。

まずプライバシー権の侵害に関して、貞操義務が存在し夫婦関係の継続に極めて重要なパートナーの不貞行為について、それを調べることは個人のプライバシーよりも優遇されるということ。

また正規の届け出を出している探偵や興信所は、聞き込み、尾行、張り込みなどの調査行動を国に認められており、探偵業法に沿って調査が行われている限り、プライバシーの侵害には当たりません。

業者と契約をせず個人で調査をする場合も、常識的な範囲内で調べるのであれば概ね問題はないですが、本人が知らない内に違法行為をしている可能性もあるので注意して下さい。

その他の名誉棄損、侮辱、肖像権などは、探偵から渡された報告書や証拠写真などをちゃんと保管しむやみに他人に渡さないこと、インターネットでばら撒くなどをしない限りは該当しません。

さらに個人情報保護法違反と人権侵害に関しては、そもそも対企業・対国家という意味合いが強く、浮気調査で該当するケースはまず考えられません。

以上のようなことをことを踏まえ、旦那(妻)が不貞をしている決定的な証拠を法に触れることなくスムーズに手に入れたいなら、れっきとした探偵社に頼むのが一番賢い選択肢なのは間違いありません。

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